アメリカのデザイン大学院留学 – 受験対策①スケジュール具体例

ハーバード大学


結論から言うと、アメリカのデザインスクール受験に関する情報はあまり出回っていません。
MBA、ロースクールや公共政策大学院への留学情報等がググればすぐ出てくるのに対し、絶滅危惧種とも言うべき情報量の少なさです。

そこで、何回かに分けて私の受験体験を共有できればと思います。
デザインスクールに興味があったり、受験を検討されている方のために私の個人的な受験体験を共有できればと思います。

まずは出願から合格までのスケジュール具体例から。

出願スケジュール具体例

2015年1-2月頃
都市計画系の米国大学院受験を決める。2016年秋入学を目指してリサーチを開始。
周囲に聞き込みを開始するも、都市計画系の大学院に進んだ人が周りにおらず困る。
(ハーバードGSDに入学後、都市計画学科には過去10年弱日本人の合格者がいなかったことが分かりました。)
MBA、ロースクール、教育大学院等に進んだ友人に情報を貰う。
この時点では情報収集のみで、試験対策等には着手せず。

2015年4月
本腰を入れて準備をスタート。仕事との兼ね合いから「選択と集中」を決意。
TOEFLとエッセイに注力、GREは基本は捨てる戦略でいくことに。
とりえあず何の対策もしないでTOEFLを受験する。TOEFL 95点。

2015年5月
勉強モードのスイッチを入れる。1日の中で英語に触れる回数を増やすよう心がける。
朝起きてシャワーを浴びながら英語で独り言。通勤時間やトイレに行く隙間時間はBBCの記事を読むなど。
仕事以外の無駄な時間は極力減らし、戦闘モードへ突入。
仕事が無い週末は家の近くの喫茶店に入り浸る。(同じように毎週末勉強している人が数人いて、これが意外と励みになる。)

2015年6月
TOEFLの勉強を継続。TOEFL 102点。あと一押し。
エッセイの作成をスタート、近しい友人やネイティブの友人にドラフトの添削を依頼。
SFC時代にお世話になった先生方、職場の上司に推薦状の執筆を依頼する。

2015年7月
GRE 1回目。結果、V 147, Q 156, AWA 3.0。
「捨て」と決めていたものの、あまり出来の悪さに意外とショックを受ける。
ただ正直仕事との兼ね合いもあるので引き続きVerbalは捨て、Quantのみ165-170 (90+ percentile)のレンジにもっていく目標を立てる。時間を見つけてはエッセイの修正に取り組む。

2015年8-9月
TOEFL、GRE、エッセイ対策。出願も迫っているので、仕事以外の時間は全て留学準備に充当。
仕事も忙しく、毎日夜中、明け方まで準備で眠れない日々が続く。また、仕事により週末のTOEFLとGRE受験をキャンセル。
後数回の試験で結果を出さないといけないことになり焦る。
ただ、「自分が自分を信じて上げないでどうするんだ」と思い、「自分ならできる、自分は本番に強いタイプ」と信じることにする。
(実力はもちろん必要ですが、メンタル、気の持ちようも留学準備では肝要です。)
ぎりぎりのところをなんとか気合いで乗り切る。

2015年10月
10月31日にようやくTOEFLを受けることができ、108点取得。ガッツポーズ。
配分は Reading 28, Listening 28, Speaking 26, Writing 26
ハーバードGSDのPreferredとされる104点(各26点以上)をクリアしたので、TOEFL受験を終了する。
残り約2カ月となり、12月の出願に向け追い込みモードに入る。

2015年11月
11月1日、TOEFLの翌日にGREを受ける。V 144, Q 165, AWA 4.0。
案の定対策を一切しなかったVerbalは下がり、悲惨な結果に。しかしQuantの目標はギリギリ達成、かつWritingも4に上がったのでこれで打ち止めとする。
ひたすらエッセイと向き合う。「これ以上のものは今の自分からは出ない」というところまで煮詰める作業。

2015年12月
ハーバードGSD以外の受験校に出願。1校に対する準備でも忙しいのに、異なるエッセイの質問や提出種類があり気が狂いそうになる。
仕事が佳境に入るが、ここも何とか気合いで乗り切る。

2016年1月
1月5日、ハーバードGSDに出願。

2016年2月
他の都市計画・デザイン系スクールからの合否が出始める。結果は合格、不合格半々といった感じ。

2016年3月
ハーバードGSD合格通知。仕事中に一人ガッツポーズする。
これまでお世話になった方たちにお礼と感謝の連絡をする。

2016年4-7月
渡米までGap期間をとることを決意。4月、新卒で3年お世話になった投資銀行を退職。
当面アメリカに行くにあたり、日本の様々な都市を見ておこうと津々浦々を巡る旅に。
お伊勢さんにお参りしたり、電波の入らない青森の温泉でデジタルデトックスしたり。

2016年8月
ハーバードGSD進学のため渡米。渡米する飛行機の中で流れ星を複数見る。

*尚、ハーバード大学デザイン大学院都市計画学科はポートフォリオの提出がオプショナルだったので、私は提出しませんでした。

Key Takeaways – 留学準備のコツ

情報戦を制する

留学準備は情報戦でもあります。在校生や過去の留学経験者と繋がり、話を聞き、情報を仕入れましょう。

ここで注意しておきたいのは、常に新しい情報を仕入れ続けるということです。世の中が目まぐるしく変化し続けるように、アカデミアも常に新陳代謝をしています。
ですので、昔に留学を経験された人からの情報は生きた情報ではない可能性があることを念頭に置きましょう。

もちろん、そういった方から話を聞くことができれば自身のモチベーションを高めてくれることにもなるので、可能であればなるたけたくさんの人と話しましょう。

きちんとスケジュールを立てる

留学準備は長期戦、ゆえにスケジュール管理が肝要です。

とりわけ仕事をしながら準備される方は、出張や業務で試験等もキャンセルせざるを得ないことが出てくると思います。前述の通り、私自身も数度試験をキャンセルし、かなり焦りました。2015年4月から本格的な準備期間に入りましたが、正直もう少し早めから取り組んでいてもよかったと思います。

ですので、出来ることからコツコツと前倒しでやっておくというのが重要かと思います。
また、大学学部時代の成績証明のような細々としたものの準備も必要なので、早め早めの対応をおススメします。

逃げない – 思い続けること

留学準備は本当に孤独です。心が折れそうなとき、もういいやと諦めてしまいそうなとき、色々とあると思います。

そんな時に大切なのは、逃げないこと、そして強く思い続けることです。
「誰かが自分に代わって試験や準備をしてくれたら」と思うくらい準備は忙しいですし、大変です。
しかし、このメンタル的にもフィジカル的にも大変なプロセスを、決して逃げることなくやり遂げたというのは後々自分自身の大きな自信になります。

とは言え誰だってモチベーションが落ちるときはあるはずなので、そういった時は在校生や留学経験者に会って話をしてみることも一案かと思います。
私自身、在校生や先輩と話をしたり、前のポストで挙げたような書籍を読んで自分自身のモチベーションの維持向上に努めました。

また、たまには留学には全く関係のない趣味の時間をとって、エネルギー補給をするのも大事ですね。

留学準備は短距離レースというより、マラソンに近いので、自身でメンタル、モチベーションの給水ポイントをつくっていく制度設計、プロジェクトマネジメントを心がけましょう。

最後に

上記3つが自分で出来れば、ぶっちゃけ対策塾等を使わずとも準備ができると思います。私もいわゆる対策塾は使用せず、基本的には自分で全て対策する道を選びました。
もちろん、対策塾等を使用すれば同じモチベーションの人と出会えたり、専門的なヘルプが得られるというメリットはあるので、最後は自身がどういう闘い方をしたいかということだと思います。

投資銀行に勤務しながら、仕事をしながらの準備は想像を絶するもので、心が折れそうになったことも一度や二度ではありませんでした。
同じような思いをされている方にとって、私の原体験が少しでも励みになればと思います。

留学受験、合格はあくまでも入り口。
その先には、きっと、チャレンジングかつエキサイティングな世界が待っているはずです。

留学という目標に向かって準備をされている方、応援しています。

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