大学院留学費用 – ハーバード大学デザイン大学院の場合

ハーバード大学


こんにちは、Takaです。

海外大学院への留学はお金がかかります。留学する分野、国などによって学費や生活費は異なりますが、アメリカの場合はトップスクールを目指そうとすると2年間で約2,000万円前後が相場だと思います。

留学準備と言えばTOEFLやエッセイのイメージが強いですが、資金の準備も同等程度に重要です。ともすれば一番重要かもしれません。留学を実現する手段としての資金、これが無ければ大学院の修了はあり得ませんので。

この記事では、私が在籍したハーバード大学デザイン大学院(GSD)を例に、実際に2年間の留学でどの程度かかるのかをご紹介できればと思います。

2年間の大学院留学に必要な費用総額

以下の主要前提に基づき、ざっと費用総額をテーブルにしてみます。

  • 2021年秋入学を想定
  • 2年間総額ベースでの表示
  • 単身での留学を想定*
  • 為替は足許の1ドル108円を使用
  • 渡米前のビザ、予防接種費用等は勘案しない

*アメリカのデザイン大学院進学時の平均年齢は26-7歳で単身者が太宗ですので、その想定で話を進めます。

費用 ($) 費用 (万円) %
学費 $103,200 1,115 58.4%
生活費 (食費、交際費、交通費など) $30,000 324 17.0%
住居費 (家賃) $25,000 270 14.1%
健康保険代 $9,800 106 5.5%
教材費 $6,200 67 3.5%
PC、モニター購入費 (one-off) $2,200 24 1.2%
GSDの生徒団体活動費 $300 3 0.2%
合計 $176,700 1,908万円 100.0%

以下、個別のアイテム毎に見ていきたいと思います。

学費

GSDのウェブを見ると、2019-20年度の学費は$51,620となっています。私が在籍した2016-18年には$47,240でしたので約9%程度上がっているようです。日本にいると物価上昇を余り肌で感じることはありませんが、アメリカでは毎年約2-3%程度物価が上昇しています。ですので、学費も毎年2-3%程度はパラレルに上がるものと考えられた方が良いかと思います。

生活費 (食費、交際費、交通費など)

月々$1,250程度は見ておいた方がいいです。ボストンではサンドイッチ一つが$8-10、約1,000円します。上記で物価上昇について触れましたが、日本に比べてそもそもの物価が高いです。肌感覚ベースですが、大体のものが日本の1.5-8倍といったイメージです。

節約するためにきちんと自炊をする人もいますが、ぶっちゃけデザインスクールの忙しさは徹夜等もあり想像を超えます。私も当初は節約のために自炊をなんて考えていましたが、1学期目が始まるや否や自炊なんて出来なくなっていました。日常的に外食をすることを考えると、ある程度の生活費の見込みは持っておいた方がいいかと思います。

私の場合は昼はカフェテリアでさっと買ってデスクに戻り、夜はデリバリーをデスクで食べて夜中まで課題をする生活が普通でした。これはハーバードの他のスクールの人と話していても驚かれますが、本当にGundホールに籠りっぱなしの生活になります。エッセイ、レポートのみならず、ビジュアルも作らないといけないので。私のようにデザインの「デ」の字も知らない人間にとっては本当に休みのない生活が待っていると思います。

とは言えたまには落ち着いた時間をとってご飯や飲みにも行きたいもの。アメリカにはチップ文化もありますから、それほど高級なところでなくても、一度の食事で$3-40程度がさくっと無くなります。2年間で300万円程度は見ておいた方がいいと思います。

住居費 (家賃)

大学のアパートでStudioと呼ばれるバストイレ付の個人部屋に住む場合の家賃は、月々$2,000ドル前後だと思ってください。6-7畳で月21万円程度です。東京も賃料は高いですが、アメリカ、とりわけ都市部の家賃は比べ物にならない位高いです。もちろん、個室の他、バストイレはシェアでも構わないという人向けの寮もあって、こちらは確か$1,500前後だったと思います。いずれにせよべらぼうに高いです。

私は土地勘が無かったこともあり、HBSにいた先輩のアドバイス等を基に、日本からハーバードの大学院生向けのStudioのリース契約を結びました。月$1,900だったかと思います。ですがケンブリッジに住み始めてすぐ、探せばもっと色々なオプションもあって、コストも落とせると分かったので、1か月もしない内にこのアパートを退去しました。大学所有の不動産以外に、個人オーナー所有の物件を見ていると、大学から徒歩15分圏内に月々$1,100程度の場所を見つけ、結果そこに2年間住みました。一軒家の1階部分を5人でシェアしたのですが、幸運なことにGSDのクラスメートとルームメートになりました。これは入居してから分かったのですが笑 みんな同じようなエリアに住んでいるので、こんな偶然もあるのだと思います。

尚、物件探しにはCraiglistやFacebookのハーバード・MIT学生向けのグループページを使用しました。私がクイックに大学のアパートから出て引っ越しできたのは、実際に内見ができたからというのが大きな理由です。

GSDの周囲の友人たちが払っていた家賃ですが、月々$1,000-1,500が平均だと思います。もちろんかなり高額なアパートに住んでいるという人もいましたが、ごく少数です。私のように私費、自分の財布からの持ち出しで留学される方にとっては毎月の高額のキャッシュアウトは死活問題です。しかも「入り」が無いので相当な恐怖です。但し、色々と探せば安くてもいい条件の物件はあるので、しっかりとリサーチされることをお勧めします。私の場合、引っ越したことで月に$800、2年で約$16,800 (180万円強)のコスト削減になりましたので。

健康保険代

1年で約$4,900、2年で約$9,800となります。私が在籍した2016-18年には$4,500でしたので、こちらも学費同様上がっているようです。健康保険に入っていない状態で診療や治療を受けると、日本と比べられない程の高額出費になりますので、必要経費だと思って払うしかありません。

教材費

1年で約$3,100、2年で$6,200となります。解説の必要は無いとは思いますが、教科書、参考書やケーススタディ購入にかかる費用です。例えば、GSDでは不動産ファイナンスの授業もあって、そのいくつかはHBSやHKSのケーススタディを使用しており、これらは購入する必要があります。

PC、モニター購入費

建築、ランドスケープ、都市計画や都市デザインを学ぶには、ある程度スペックが高いPCとモニターは必須アイテムです。分析や設計に使うArc GIS、Rhino 3D、イラレやフォトショといったソフトはかなりのメモリを必要とします。加えて、13-14インチのノートPCのみだと目が疲れるばかりか、作業効率もかなり落ちます。

私は渡米後に、15.6インチのノートPCとモニターを新しく購入し、それで2年間を乗り切りました。一度きりのコストで約$2,200程度でした。一方、建築やランドスケープ専攻の友人の中にはデスクトップを使っている人も多かったです。コストを抑えたいという方は中古を買うのも手だと思います。

尚、必要なPCのスペックについては、GSDが具体的に公表しています。詳しくはそちらを参考にして頂ければと思います。

一点、Arc GISやRhino 3Dといったソフトは大学側が提供してくれるので購入の必要はありません。但し、イラレやフォトショといったAdobe関連は自分で購入する必要があるのでその点ご留意下さい。建築や都市系から来られる人は既にPCにインストールされているかと思いますが、私のように大きなキャリアチェンジをされた方は持っていない方が太宗かと思います。私の場合はCreative Cloudで年額約$220でした。

GSDの生徒団体活動費

1年で$150のこの出費、これはGSDで行われる生徒主体のイベントやその他活動への拠出金と考えて下さい。GSDでは年間を通じてたくさんのイベントがあり、例えば毎週金曜日夜にはカフェテリアスペースでBeer and Dogsというソーシャルが行われます。これはGSDの学生団体が取りまとめているもので、毎週無料で瓶ビールが提供され、学生DJが音楽を流し、みんなでわいわいしながら忙しいGSD生活から一時的なエクソダスを図るものです。ビールも含め、こういったイベントの運営の原資になるアイテムだと理解して頂ければと思います。

まとめ

以上、今回は大学院留学にかかる費用について私の具体例を赤裸々に紹介しつつ見てきました。

私費での留学を目指される方にとっては2,000万円というのはやはり大金だと思います。それまで貯めた貯金だけでは足らず、奨学金を獲得したり、あるいはローンを引く必要もあるかもしれません。「身銭を切って学ぶ」とは正にその通りでお財布事情は厳しくなりますが、苦労して学ぶ分、毎日の一つ一つの学びに丁寧に向き合うことが可能になると思います。また私費留学の最大の良さは機動性の高さにあります。組織やルールに縛られていないので、卒業後の進路等含め、自分自身の思うように歩むことが可能です。もちろん、後ろ盾が無いのでメンタル、お財布共にそれなりに冷え込む可能性があることは覚悟されておいた方がいいと思います。汗

一方、官費や社費で来られる場合は国や会社が授業料、生活費といった必要経費のほとんどを見てくれると思います。ボストン界隈で話を聞いていると、会社の中には留学費用に加え、給与の支払いもしてくれるところもあるようです。しかし、留学後に会社に戻って5年間働かずに辞めた場合は留学費用を自分で払うなどのロックアップ条項が彼らにはあり、一概にはどちらがいいということは言えません。

私はと言うと、1年目は貯金を切り崩しながらひーひー言っていましたが、2年目は幸運にも世界銀行の奨学金を頂くことが出来ました。学費、生活費のフルサポートをしてくれる奨学金で、これが無ければ借り入れ等を考える必要がありました。これまで両親には世話になったので、大学院くらいは迷惑をかけず、自分で完結したいという思いがありましたので。

以上、今回は大学院留学の費用のリアルをご紹介しました。奨学金等についても追って記事を書ければと思います。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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