エディンバラ大学留学 – 折り返し地点

エディンバラ大学


明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年の12月は試験勉強で毎日図書館にこもっていました。
“You live in library haha!!”
飲みに誘ってくれた友達にもそう言われましたが、まさに図書館の住人でした。

試験が終わってからはイタリアに飛び、一旦ホグマニーでエディンバラに戻って今はフランスを点々としています。
今現在は2年前に一ヶ月ホームステイをしていたフランスはRouenのホストの家にいます。
マダムがお勤めに行かれたので、一人カフェラテを飲みながら留学前半のことをゆっくり振り返る時間を持っています。

留学前半、学業、スポーツ、恋愛ともに本当にいろんなことがありました。
今回は学業面に関する振り返りを。

履修した授業

僕の交換留学先のエディンバラ大学では、半期で3つの授業を取ることができます。
一つの授業につき、1時間のレクチャーが週2〜3回。生徒中心で輪読やディスカッションをするチュートリアルの時間がそれぞれの授業に1時間。僕が履修していたのは以下の3つ。

今後、エディンバラもしくは他のところに留学を考えておられる方のための参考になればと思います。

①Economic History

大航海時代以降の世界経済がどのように発展してきたかを学ぶ授業。

陸路から海路へ。大航海時代、香辛料貿易は海の冒険者達によって発展しました。
栄華を誇ったかつてのヴェネツィア共和国(現イタリア)、ポルトガルから覇権は大英帝国、オランダへ。
世界のDriverとなった資本主義に注目し、それがどのように現れ、どのように世界を支配し、今それがどのような結果(ポジ、ネガ両側面とも)をもたらしたかを考察する授業です。

今後の世界の行く末を見据える自分のパースペクティブの下支えとなる非常に有用な授業でした。

②International Cooperation in Europe and Beyond

日本語で言うところのIR、 国際関係論の授業です。
Liberalism、RealismやConstructivismなど学説を学ぶ初歩的なところから始まりWTO、EUやUNがいかなる学説を体現して設立されたか、そして今どうなっているかを考察します。

講義のなかでも特に面白かったのは9.11以降頻発してきたテロによって明らかにされた国家(state)対非国家(Non-state)アクターの闘争の構図に関する考察。
国家を軸に国際関係を考察するNeo-RealismとNeo-Liberalismでは今後の世界は語り得ないとし、共通の規範や理想が国際機構強いては世界を組織すると考えるConstructivismに主に焦点を当てながら生徒に自らの意見を考えさせようとする授業。

個人的に面白かったのは、WTOのglobal trade system下における格差の拡大、UNの安保理問題、EUの正当性の問題。

③European Social Policy

EU諸国の社会福祉政策を、エスピン・アンダーソンの提唱したdecommodification(脱商品化)とdefamiliasation(脱家族化)、あるいはフェミニズムの観点から比較・分類し今後の社会福祉政策について考える授業。

  • 高福祉を達成していることで有名な北欧諸国
  • かつての社会主義的な福祉政策から未だ抜け出せていないCentral Eastern Europe
  • カトリックの影響で家族の繋がりが強く、それがため国家に代わって家族が福祉の提供者として機能しているスペイン、イタリアやポルトガルなどの南欧諸国

このように各国の特徴をしっかりと確認した後で、授業の焦点はEU諸国が共通して抱えているUnemployment、AgeingやLow Fertilityについてどう対処するべきかにシフトします。

なかでも1990年代以降EUが試みたOMC(Open Method of Coordination)とその代表例であるEES(European Employment Strategy)に焦点をあて、EU諸国が1つにConverging(収束)しているかどうかの考察には多くの時間を割きました。

結論から言えばNO。高齢化、出生率の低さ、高い失業率など共通の問題を解決するためEUとして取り組んできたものの、やはり各国の社会福祉は多様であり決してConvergeしない。反対に各国の社会福祉の政策形成過程こそがEuropeanisationしているのではという問いかけをもって終えたこの授業。

日本の社会福祉政策に思いを馳せるきっかけになると共に、留学でできた友達が住むEUのそれらにも強く興味を持つきっかけとなりました。

振り返り、そして後半戦への想い

振り返ればどの授業も毎週膨大なリーディングでしたが、勉強していて本当に楽しかったです。

勉強も、スポーツも、恋愛も。
どれにも絶対的なパターンなんて存在しないからこそ楽しいし、取り組む価値がある。
常に全力でいなければなと改めて痛感した次第です。

怠惰になりそうな時、あるいは既になってしまっている時思い出す言葉があります。

「物事をしないための言い訳を探すな。」

高校で2年間お世話になった尊敬する担任の言葉。
関西学院高等部を卒業後、美大に進学し自分の道を貫かれた先生の言葉だからこそ響くものがありました。

もっと成長して帰ります。
送り出してくださった方達のためにも。そして何より自分のために。

(1月3日 エッフェル塔とパリの朝焼け)

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