投資銀行(IBD)志望者、内定者におススメする12冊

日本


こんにちは、Takaです。

私は2013年に、外資系投資銀行の投資銀行部門(IBD)に新卒入社しました。タイトルは「投資銀行(IBD)志望者、内定者におススメする12冊」と書きましたが、これらのほとんどが私が入社するにあたって実際に読んだ本です。

世の中には数多くの書籍が出回っており、どの本を手に取るべきか迷う方も多いかと思います。今回はそんな方にとって一つのガイドをご提供できればと思います。

以下がご紹介するジャンルの概要です。

おススメする12冊の内訳

業界を理解する: 2冊

知識・スキルを身に着ける: 4冊

モチベーションを上げる: 4冊

証券外務員1種試験に合格する: 2冊

では、さっそく見ていきましょう。

業界を理解する

以下の2冊がおススメです。

投資銀行業界大研究

投資銀行への就職、インベストメントバンカーを目指す人なら必ず入手しておきたい一冊。就職活動をする上、とりわけ面接等に進む上では避けて通ることができない業界理解。投資銀行業界の歴史や業務内容、各投資銀行の紹介などがあり、業界や業務のビッグピクチャーを理解するのに有用です。

尚、書かれたのが2014年後半なので若干使用されているデータ等が古いので、その点を心に留めて読まれることをおススメします。併せて業界関係者と会ったり、企業説明会等に出席し、常に最新の情報にアクセスすることを強くおススメします

投資銀行青春白書

元外資系投資銀行(リーマン、UBS)で働かれていた保田さんという方の著書。ファイナンスや経済の知識がゼロの主人公ミヤビが、外資系投資銀行に就職し成長していく物語。小説仕立てなのでさらさら読めます。彼女を通して投資銀行への就職、キャリアアップを疑似体験出来るので就職活動の入り口としておススメです。

知識、スキルを身に着ける

ここでは4冊をご紹介します。

MBAバリュエーション

まず初めにおススメしたいのがこの本で、業界では「オレンジ本」という愛称で呼ばれています。同期はほぼ全員読んでいたのではないかと思います。M&Aや企業価値評価の基本が初学者にも分かりやすく解説されています。数日間のジョブやインターンに参加する前に読んでおくことをおススメします。

私自身、3カ月のサマーインターン中、実際に入社してからも折に触れて読み返した記憶があります。

バリュエーションの教科書

こちらも前述のオレンジ本著者である森生さんが書かれた書籍で、上記を読んだ後に読むことをおススメします。オレンジ本が初級とすれば、こちらは中級でしょうか。財務指標に対する具体的な解説も多く、「なぜこの指標を使うべきか」をきちんと理解した上で指標が使えるようになると思います。

企業価値評価

マッキンゼーが出している企業価値評価に関する書籍で、具体例を用いながら上記2冊をより深堀りした内容になっています。上記2冊が基本書とすれば、こちらは専門書と言えるかもしれません。若干お値段はしますが、これも投資ですよね。私の職場では結構持っていらっしゃる先輩、同期も多かったように記憶しています。流れとしては、オレンジ本、バリュエーションの教科書を通した後にこちらを読まれることをおススメします。

外資系金融のExcel作成術

モルスタに勤めていらっしゃった慎さんという方の著書で、投資銀行業務で必要とされる財務モデリングの作り方についてよく纏められています。また、ショートカットなど日常業務での作業の効率化方法も紹介されています。一言で言うと、かなり実務的です。

尚、外資系投資銀行の場合、入社1年目の夏に海外研修(ニューヨークやロンドン)があるはずです。世界のオフィスから集まる入社同期たちと肩を並べ、Excelの作り方、金融知識、モデリング等について毎日みっちりと勉強することになります。その前に、ある程度の前提知識、スキルがあると成長曲線はリニアではなくエクスポネンシャルになるかもしれません。将来の内定、勤務を見越して早め早めにスタートを切りたいという方におススメです。

モチベーションを上げる

ここでご紹介するのは、就職・転職活動のモチベーションを上げてくれる書籍です。全て小説ではありますが、更なる業界理解を補完してくれるものと思います。尚、上記イメージは上昇相場、強気相場の代名詞として知られるブル(雄牛)です。

トップ・レフト – ウォール街の鷲を撃て

投資銀行のことをもっと知りたくて手に取った本がこの本でした。都市銀行、証券会社でグローバルなキャリアを歩んでこられた黒木さんという方の作家デビュー作です。元バンカーの黒木さんだからこそ描けるリアルな描写を通じて、投資銀行への理解を深めることができたように思います。とくに、交渉場面の描写は臨場感があって凄い。尚、タイトルにあるトップ・レフトというのは融資額や証券引受額の最も多い主幹事証券会社のことで、目論見書などのドキュメントの一番左(トップ・レフト)にロゴ・名前が記載されることからそう呼ばれています。

『トップ・レフト』ですっかり黒木さんのファンになった私は、すぐに以下の2冊に手を伸ばしました。

獅子のごとく

米系投資銀行に勤め、熾烈な競争社会で勝ち抜いていく一人のバンカーの物語。一説では、ゴールドマンで日本代表を長く務める持田さんがモデルの小説と言われています。グレーゾーンもありつつですが、仕事に対する徹底した姿勢、人生に対するこれでもかという「攻めの姿勢」が描かれており、自分の仕事やアウトプットに対するこだわりを持つことの意味について考えさせられた一冊でした。尚、主人公がかなりパワフルなので、読み疲れする人もおられるかもしれません。笑

巨大投資銀行 – バルジ・ブラケット

『獅子のごとく』と同じく米系投資銀行でのしあがっていく3人の日本人の物語です。面白いのは物語の時間軸で、描かれるのはバブルからバブル崩壊前後。私自身はバブルを経験していない世代、両親から話を聞いていた程度なので、歴史、経済イベントの勉強にもなる一冊でした。

尚、『トップ・レフト』と『巨大投資銀行』(上)はAmazonのKindle Unlimitedの会員であれば無料で購読できるようです。投資銀行に興味が全くない方にも純粋な読み物としておススメです。

しんがり 山一證券 最後の12人

テレビドラマ化もされたのでご存知の方も多いかと思います。90年代後半、当時の4大証券の1角である山一証券が自主廃業を発表します。多くの社員が再就職に向け奔走する中、最後の最後まで清算業務と真相究明に取り組み続けた12人のしんがり部隊にスポットライトを当てたヒューマンドラマ。いつの時代も、報われるわけでもないのに、必要な仕事を淡々と最後まで完遂してくれる人々がいます。

この本が出たのは2013年で、私は勤め始めてから読んだ1冊です。当時の勤め先が旧山一證券の営業網を引き継いでいることもあり、きちんと歴史やカルチャーを勉強したく手にとったところ、人として心に留めておかねばならないことまで教えられた気がします。

証券外務員1種試験に合格する (内定後)

内定が決まったら、証券外務員1種資格を取る準備をしましょう。内定先から対策本・過去問題集を渡されたように記憶していますが、私は別途自分で以下の参考本を購入しました。

証券外務員一種 合格のためのバイブル

尚、1種の取得には約60-80時間の勉強時間が必要と一般的には言われています。一日1時間勉強したとすれば2カ月ですね。私は長期戦が苦手なので、1日3-4時間程度を2週間、短期集中で勉強しました。卒論や修論もあって大変だとは思いますが、提出後で十分間に合います。

尚、投資銀行、とりわけ外資系は採用人数が少数なこともあり、内定者は必死になって勉強します。と言うのも、この試験に落ちているようでは採用先、また同期からも不出来だというレッテルを貼られることになりますので。きちんと対策し、さくっと取ってしまいましょう。

うかる! 証券外務員一種 必修テキスト 2019-2020年版

こちらは2019-20年を対象とした対策本です。年々試験の傾向も変わるかとは思うので、最新の情報に触れるという観点で手に取られてもいいかと思います。

おわりに

以上、今回は投資銀行への就職を目指す方、また内定者の皆さんにおススメする本12冊をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

特に新卒で投資銀行を目指す方にとっては、分からないことだらけで不安に感じることが多々あると思います。また、内定が決まった後も証券外務員試験を受けなければならなかったりと結構大変です。なんたって卒業前、周囲が卒業旅行などで遊びまくっている時期に資格試験を受けなければならないので。笑

でも、投資銀行に入ってからも毎日が勉強の連続です。これは仕事、勉強に限らず言えることだと思いますが、常に学び続け、知識や経験をアップデートし続けることが大事です。ご紹介した12冊の中に、皆さんにとって一冊でも参考になるものがあれば幸いです。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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