アメリカで就職を目指す方へ – 超えるべき3つの壁

アメリカ


アメリカでの現地就職には、超えなければならない壁がいくつかあります。

私はハーバードGSD(デザイン大学院)を修了後、アメリカ現地の都市計画・デザイン事務所に就職しました。アメリカの大学のキャンパスプランニング、学生寮の開発や、途上国のマスタープランニングの策定などをしています。(2019年6月20日時点)

前職の投資銀行を退職しての留学だったので、人生で2回目の就職活動となったわけですが、そこには超えなければならない壁がいくつかありました。

大学院修了も差し迫った2018年4-5月頃は、自身の納得の行くような結果が出ず、また学校の最終課題に追われて睡眠がとれないわで、かなりストレスフルな日々を過ごしていたように思います。

そこでこの記事では、私がアメリカ現地で就職活動をする中で感じた3つの壁についてご紹介します。

アメリカ就職における壁:マーケットの特性、参入障壁を把握しよう

日本で生まれ育った人がアメリカで就職することは決して簡単なことではありません。会社からの諸々のサポートがある駐在とは全く異なり、全てを自分で超えていく必要があります。

例えハーバードを出たとしても、最後は「個の力」、すなわちどれだけ敵を知り、己を知っているかということにつきます。

努力で何とかなるものもあれば、なりにくいものもあります。

ビザの壁

努力では何ともしにくい代表格がこのビザ問題です。

アメリカ国籍やグリーンカードを持っていれば、職を見つけアメリカに残る可能性は比較的高くなります。とは言え、アメリカ政府も鬼ではないので、OPT(Optional Practical Training)と言って、大学や大学院を修了したinternationals(私のような外国籍の人間)がアメリカ国内で1年間働く権利のようなものをくれます。
尚、私はこのOPTを使ってアメリカでの就労を開始しました。

但し、OPTが有効となるのは、職探しが上手く行ってこそです。職を見つけることが出来なければ、この特典は価値を持ちません。ですので、きちんと自分が闘うフィールドを知り、備えることが重要になります。事実、就職活動に苦戦してアメリカを後にし、自国に帰る友人を多数見てきました。競争は本当に熾烈です。

尚、私のOPTはつい最近1年間の有効期間が切れました。ではなぜまだアメリカで働けているの?と思われるかもしれませんが、それはOPT期間中にH1-Bという別のビザへの切り替え申請を出したからです。

このH1-B、応募人数が制限を超えた場合は抽選でビザが貰えるか決まるという曲者です。(ここ数年は毎年応募人数が多く、抽選です。)このあたりはまた追ってご紹介出来ればと思います。

言語、文化の壁

英語でのコミュニケーション能力が高いことはマストです。
幼少期を海外で過ごした方、英米のボーディングスクールや日本のインターナショナルスクールの出身の方。事実、私がハーバードやMITで出会った日本人留学生のうち、アメリカ現地で就職していたのはこういった方たちが多いです。

応募するポジションには、アメリカ人の学生はもちろんのこと、英語が流ちょうなinternationalsたちが応募します。オーストラリアやイギリスなどの他の英語圏はもとより、欧州、東南アジアや南米などの留学生の英語力は純粋な日本人留学生の比ではありません。

日常のチームとの連携、お客様へのプレゼン、その他のコミュニケーション。もちろんのこと、全てが英語です。日本で外資系に勤めるのとは全く異なります。

また、おしゃべりが大好き、誰にでも”What’s up?”なアメリカの国民性ですので、文化やトレンドを理解していること、ちょっとウィットに飛んだジョークや切り替えしが出来るとプラスだと思います。

私の周りではNetflixで何を見たか、Game of ThronesやBlack Mirrorの今シーズンはどうだったかなんてのが話題に上ります。

専門性の壁

米国ではSTEMといってScience、Technology、Engineering & Mathematicsと呼ばれる科学技術系、高度な専門的スキルが必要とされる職業分野における人材・雇用のニーズが高く、優遇される状況にあります。大学や大学院でこのSTEM分野を専攻し、無事に卒業・修了すると、OPTが最大3年間有効になります。

尚、ハーバードGSDでは、昨年MAUD、MLAプログラムもようやくSTEMに認められたようです。私の所属していたMUP(都市計画学科)は未だSTEMとしては認められておらず、これも私がアメリカでの就職活動で苦労した大きな要因の一つです。

OPTで1年しか働けない人と3年働ける人だと、雇用主からしたら後者を選びたくなるのは当然です。1年でOPTが切れた場合、雇用継続のためには他ビザへの切り替えをせねばならず、雇用主側が申請に必要な移民弁護士費用等を肩代わりしてくれることがあります。しかし、これは雇用主にとっては単なるコストなので、高い専門性を持ち、長く働ける人材を優先して採用、雇用するのは当然なわけです。

尚、自国民の雇用確保の文脈で、トランプ大統領がSTEM領域のOPT期間の短縮やH1-B制限等に向けた主張、施策を展開中ですので、詳しくはアメリカ政府のウェブサイトでご確認下さい。internationalsはあくまでもinternationals。アメリカの政策の影響をもろに受けるので、常に新しい情報を仕入れるようにしてください。

まとめ

超えるべき3つの壁

ビザの壁

言語・文化の壁

専門性の壁

英語力や文化への理解に自信がない場合は専門性で飛び抜けてください。言わずもがな、英語、専門性どちらもあればベターです。そして、この言語・文化の壁、専門性の壁はビザの壁に比べ、個人の努力次第によって超えていくことが可能です。

以上、アメリカで就職にあたって超えるべき3つの壁について考えてみました。
次回の投稿では、アメリカの就職活動におけるTipsについてまとめたいと思います。

補足:米国都市計画協会のインタビュー

以前、米国都市計画協会(American Planning Association)からインタビューを受けました。私自身のアメリカでの都市計画・デザイン分野での就職活動についての内容が以下に纏められています。ご興味のある方はどうぞ。

A Guide to Using Your Planning Skills Abroad

アメリカのデザイン系大学院留学とその後のアメリカ現地就職に興味のある方のみならず、アメリカでの就職を検討している方にとってもご参考になればと思います。

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