ケンタッキーでバーボントレイル? – ①ジムビーム蒸留所
こんにちは、Takaです。
前回記事で昨年9月にケンタッキー州でバーボントレイル巡りをしたと書きました。
バーボン蒸留所訪問記の第1回目となるこの記事では、ジムビーム蒸留所 (Jim Beam)についてご紹介したいと思います。
ジムビームとは?
ジムビームはバーボンの世界No.1ブランドとして有名ですよね。ケンタッキー州のクラーモントで蒸留製造されるバーボンで、アメリカでは知らない人はいないと言っても過言でありません。
日本でも、バーボンと言うとまずジムビームを想像される方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、2014年にサントリーホールディングスがジムビームを保有するビーム社を買収し、日本国内での流通が増えたためです。ローラさんの出演するCMでバーボンを知ったという人も多いのではないでしょうか。
ジムビームの歴史
(蒸留所ツアーのチケット裏側に記載された歴代のビーム一族)
ジムビームの歴史は1795年に遡ります。創始者はドイツ系移民の子孫であったヨハネス・ヤーコブ・べームで、はじめ彼はメリーランド州でウイスキー造りを始めます。しかし独立戦争、ウイスキー税の導入と世の中が目まぐるしく変わる中、1790年にケンタッキーに移住し蒸留製造所を開きました。以後、現在に至るまでの約230年弱、七世代に渡って家族経営が続けられています。
ビーム家に繁栄をもたらしたのは3代目のデイヴィット・M・ビームで、彼はヴィジョナリーだと言われています。1856年、鉄道に近い立地に蒸留所を移転するなどして、2代目から引き継いだ「オールドタブ」というバーボンの流通を加速、ナショナルブランドにまで育て上げます。
後を継いだ4代目ジェイムズ・ベーカー・ビームは蒸留所の新たな建設等の設備投資で事業拡大を牽引しました。尚、彼は家族や友人からジム・ビームとして呼ばれていたようです。
とは言っても時代の風は厳しく、1920年に禁酒法が施工され1933年に撤回されるまでの約13年間を耐え忍ぶ必要がありました。バーボンの蒸留製造が出来ないこの期間に彼は石炭採掘やオレンジの栽培等にも手を出しますが、幸か不幸か事業は成功しませんでした。もしどちらかで成功していれば、今のジムビームは存在していなかったかもしれません。
1933年に禁酒法が撤回されるや否やジムはクラーモントで蒸留所を120日の突貫工事で再建、1934年には禁酒法以後初となるバーボンの出荷となりました。もうお分かりかと思いますが、ジムビームというブランド名は厳しい時代を耐え抜き、事業を継承したジェイムズ・ベーカー・ビームの愛称にちなんで付けられたものなのです。こうして1943年、世界ブランドである「ジムビーム」が誕生したのです。
ジムビーム蒸留所ツアー
さあいよいよお待ちかねの蒸留所ツアーですね。上記はアメリカン・スティルハウスといって蒸留所に隣接するショップ兼見学施設的な場所で、ここがツアーの起点となります。
(ジムビームのツアー専用バス)
ツアー料金は$14 (約1,500円)で約1時間半程。ガイドさんからバーボンの蒸留製造やジムビームの歴史について詳しく聞けるのみならず、ツアー後半にテイスティングハウスで使える3杯分のバウチャーが貰えるので決して高くはないかと思います。
私が参加したツアーの参加人数は約20名程度だったでしょうか。アメリカ国内からの訪問者が多く、ほぼ9割が白人でした。こういうとき、アーバンプランナーの自分はアメリカ社会の分断、人種や民族間における経済格差を肌で感じます。
ガイドの女性が熱心にバーボンとウイスキーの違いやジムビームの製造方法について教えてくれ、とても勉強になりました。上記の写真はバーボンの原材料であるコーン、ライ麦、大麦の3種類でバーボンがバーボンたるための配分比率について説明してくれました。前回記事でご紹介した51%ルールですね。
その後蒸留から樽詰め、熟成、瓶詰までの工程を順を追ってたどっていきます。上記は熟成、バーボンの甘美な味わいの肝となる内側を焼いて炭化させたホワイトオークの新樽の説明。
こちらは樽出しで試飲をさせてくれたノブクリーク (Knob Creek)。そう、ジムビーム蒸留所ではジムビームの他に4種類のプレミアム・スモール・バッチ・バーボンを製造しているのです。「ノブクリーク (Knob Creek)」、「ベイゼルヘイデン (Basil Hayen’s)」、「ベイカーズ (Baker’s)」、「ブッカーズ (Booker’s)」の4つで、アメリカの友人とバーに行くとノブクリークも人気が高いです。
天使の分け前? – Angel’s Share
ここでは「天使の分け前」なるものについて説明を受けました。これ、皆さん何だかお分かりになりますでしょうか?
実は樽の中の原酒は熟成過程で減ります。さてどういうからくりか。密閉されたとは言え樽も木材なので気体を通しますよね。熟成過程では水分とアルコールが蒸発し蒸気となり、この蒸気が少しずつ樽をすり抜け外に放出されることで減少するのです。
「天に昇るように蒸発したウイスキーは天使が飲んでいる」と捉え、英語ではAngel’s Shareと表現します。アルコールは水よりも揮発性が高いため蒸発し、結果としてアルコール度数も落ちるわけです。熟成段階でアルコール度数が落ちる理由ですね。
尚、$40を払えば自身専用のノブクリークのボトリングができますよ。ボトル洗浄、バーボンのボトリング、シーリングができます。
熟成、瓶詰工程を見学した後はジムビームの歴史について説明を受けました。棚には歴代のビーム一族の写真、記念ボトルなどが並びます。ここではサントリーによる買収の説明もありました。
見学を終えたらいよいよ試飲です。同敷地内にあるテイスティングハウスでは全12-13種類ある中から3種類を選ぶことができます。ノブクリークやブッカーズなども飲めます。
(テイスティングハウス概観)
(テイスティングハウス内部)
(テイスティングハウス内部の壁には”Come as a friend, leave as family”とのメッセージ)
私は3種類のテイスティングでは足らず、別途追加のテイスティングセット、カクテルを注文しました。最後のテイスティングの量はさほどありませんでしたが、丁寧な説明に加えノブクリークの樽出しも飲めたので満足でした。
(テイスティングハウスの横にはアメリカ人の好きなビーンバックが)
(敷地内に併設されているショップ内部)
(ショップ内部にはバーボンのキャップで作られたチェスセットが)
個人的おすすめボトル3選
今回はジムビームのラインアップから一つ、後はベイゼルヘイデンとノブクリークをご紹介したいと思います。バーボン初心者の方にとっても飲みやすい3本だと思います。
ジムビーム ダブルオーク 700ml
ジムビームの中で個人的に一番好きなのがこのダブルオークです。比較的熟成期間が短いバーボンの中では手間暇かかっているのがこのボトルです。
ダブルオークという名前の通り、2つの異なる新樽で熟成させます。まずは深く焦がしたホワイトオークの新樽で4年、次に浅く焦がした新樽に移し替えて数か月寝かせます。深いチャーリングが与えるカラメル、コーヒーのようなビターさが味わい深い一本だと思います。
一番オーソドックスとされるジムビームホワイト (コンビニとかにあるもの)と飲み比べて頂くとお分かりになると思うのですが、味と香りに一段深みが増しています。
ベイゼルヘイデン 750ml
ライ麦比率がジムビームの2倍以上ということもあり、ライのスパイシーさを楽しみたい方におすすめです。アルコール度数が40%に抑えられていてとにかく飲みやすいです。スパイシーさの中にも甘い紅茶の香りやはちみつのフレーバーが楽しめます。ストレートで十分にスムーズな飲み口ですが、ソーダで割ってもおいしいですよ。
ノブクリーク 750ml
4年になるアメリカ生活で結構飲んだのがノブクリーク。個人的にはスコッチだとオーバンのような甘美なフレーバーが好みなので、バニラ、キャラメルといったフレーバーの強さが好みの一本です。
ベイゼルヘイデンと同じくライなので辛口かと思いきや、とにかくまろやかで甘みが強いです。バーボンを飲んだことがないという人にもおすすめできる一本かなと思います。綺麗な琥珀色とボトルデザインも個人的には好きなんですよね。
最後に
今日はここまで。次回はエンジェルズエンヴィ蒸留所についてご紹介します。
お楽しみに!
最後までお読み頂き、有難うございました。
※記事の情報は2019年9月21日時点の情報です。
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