ケンタッキーでバーボントレイル? – ③オールドフォレスター蒸留所

アメリカ生活


こんにちは、Takaです。

バーボン蒸留所訪問記の第3回目となるこの記事では、オールドフォレスター蒸留所 (Old Forester)についてご紹介したいと思います。

オールドフォレスターとは?

オールドフォレスターはブラウンフォーマン社のバーボン代表銘柄の一つで、販売当初から高品質に徹底的にこだわっていることで知られる正統派プレミアムバーボンです。

一昔前にサントリーが日本への正規輸入を行なっていたこともあり、見たことがある、飲んだことがあるという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

とは言え前々回ご紹介したジムビームや次回ご紹介するフォアローゼズなどに比べると日本では知名度は低いのが実際のところかなと思います。

オールドフォレスターの歴史

オールドフォレスターの創業は1870年に遡ります。創始者はスコットランド系移民を祖父に持つジョージ・ガービン・ブラウン (George Garvin Brown)。

1874年、オールドフォレスターは初めてバーボンを瓶詰し密栓ボトルで販売したブランドだと言われています。それまで樽からジャグ等に入れての販売が主流だった時代、瓶詰、密栓というのは品質保持の観点からはイノベーションでした。要するにバーボン史上に偉大な功績を遺したブランドになるわけです。

オールドフォレスターという名前の由来には大きく2つ説があるようですが、ブラウンフォーマンが公式に発表している語源はブラウンの友人である医師ウィリアム・フォレスター (William Forrester)に由来する説です。もう一つは創始者のブラウンが尊敬していた南北戦争時代の将軍、ネイサン・ベッドフォード・フォレスト (Nathan Bedford Forrest)将軍に由来する説のようです。

特筆すべきは禁酒法時代にもオールドフォレスターは蒸留・製造を許されていたこと。1920年〜1933年の禁酒法時代には医薬目的のために薬品として販売されていました。1870年の創業から禁酒法時代を経て今日に至るまで継続してバーボンを販売し続けてきた存命ブランドはなんとオールドフォレスターだけなんだとか。

高品質への徹底したこだわり

上述した通り、現在でも高品質への徹底的なこだわりは失われていません。現在はクリス・モリス (Chris Morris)の下、高品質のプレミアムバーボンが造られています。尚彼は同ブラウンフォーマンが所有するウッドフォードリザーブ (Woodford Reserve)のマスターディスティラーでもあり、アーリータイムズ (Early Times)やジャックダニエルズ (Jack Daniel’s)も管轄しています。

ご存じの方も多いかもしれませんが、クリス・モリスの前は『アロマの神様』と呼ばれたリンカーン・ヘンダーソン (Lincoln Henderson)がマスターディスティラーを40年程務めていました。前回記事でご紹介した通り、彼は2006年にエンジェルズエンヴィという新たなブランドを立ち上げました。

オールドフォレスター蒸留所を訪れる


(天まで突き抜けるかのような長い蒸留釜)

前回ご紹介したエンジェルズエンヴィ同様、オールドフォレスターもルイヴィル中心にある都市型の蒸留所になります。2018年6月に新設・稼働した真新しい蒸留所です。

創業当時は他社から買い付けた原酒で製造・販売をしており、紆余曲折を経て自社蒸留所を保有したのは禁酒法後のこと。1980年まで製造を継続した後、2018年に専属の蒸留所が新設されるまでは買収・改築したルイヴィル郊外のアーリータイムズ蒸留所で原酒の生産を行っていたとのこと。

僕は時間の関係でツアーに参加することは叶わなかったのですが、ショップを見たり併設のバー (George’s Bar)で飲んだりとそれはそれで楽しかったです。


(瓶詰されたてりやきソースが売られていました)


(バーのバーボンメニュー。3種飲み比べをしました)


(バーのカクテルメニュー。ミント・ジュレップを飲みました)


(蒸留釜の向こう側から)

バーからトイレにいく通路からはエレベーター越しに蒸留釜とショップを見ることができます。なんだか面白い設計だなと思って一枚撮りました。


(KFC Yum! Center)

実はこのオールドフォレスター蒸留所はKFCヤムセンター (KFC Yum! Center)の目と鼻の先にあります。ケンタッキーフライドチキンとその親会社Yum! Brandsの名を冠したこのセンター、多目的スポーツアリーナとして使用されているようです。

余談ですが、ケンタッキーフライドチキンのケンタッキーはケンタッキー州から来ています。創業者のカーネルサンダースが同州コービンという小さな町で経営していたレストランがケンタッキーフライドチキンの原点であることは有名ですよね。

スマートシティ化を進めるルイヴィル

上記の写真からもお分かり頂けるかと思いますが、歩道が広く電気自動車のチャージングステーションも目立ちました。

少し都市計画・デザインの話をすると、ルイヴィルは官民連携してスマートシティ化を推進していることで知られています。都市化、都市部への人口集中は先進国、途上国を問わず世界的に加速しており、住宅不足、環境問題といった様々な問題が顕在化しています。国連が持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals: SDGs)の中で掲げた通り、都市計画・デザインの分野においても「住み続けられるサステナブルなまちづくり」は決してラグジュアリーではなく、義務だと認識されてきています。

都市におけるサービスを担う自治体はその最前線にいるわけで、ルイヴィルにおいても市民の生活の質の向上、環境への配慮、医療といった目的でビッグデータの活用が進められています。

ルイヴィルの成功事例として日本でも認知されているのはぜんそく患者の支援施策。スマホと連動するGPS付きの吸入器が大気の状態に関する情報を提供するもので、取り組み開始から1年間で吸入器の緊急使用が82%減少したとの検証結果もあるようです。都市のユーザーである市民の目線に立ったスマートシティづくりが推し進められている好例だと思います。


(街中にはお洒落なアートもちらほら)

その他にもお洒落なアートがちらほら点在していたりと、ルイヴィルはコンパクトで歩くのが楽しい街でした。

尚、写真にもある通りエヴァンウィリアムズ (Evan Williams)にも少しだけ立ち寄りました。オールドフォレスター蒸留所からは数ブロックしか離れていないので併せて訪れられてもいいかと思います。

ミント・ジュレップとケンタッキー・ダービー?


(壁に飾られていたミント・ジュレップの壁紙)

ところで皆さん、ミント・ジュレップ (Mint Julep)をご存知でしょうか?

ミント・ジュレップとは、バーボンをベースにミント、砂糖、氷で作るとてもシンプルなカクテルです。ミントのさわやかな香りと冷たい喉ごしから、夏場によく飲まれます。

蒸留所を訪れたのは9月の終わりでしたが、それでもルイヴィルはまだ暑かったのを覚えています。蒸留所をざっと見た後、併設のバーでこのミント・ジュレップをファーストドリンクに頂きました。まるで生き返るような爽快さでした。バーにいたローカルのお客さんの多くもミント・ジュレップを飲んでいましたよ。

ケンタッキー、ルイヴィルは白人が多く、お客さんはほぼ9割が白人でした。


(ローカル客で賑わう蒸留所併設のバー)

さてこのミント・ジュレップ、実は「ケンタッキー・ダービー」のオフィシャルカクテルとのこと。ケンタッキー・ダービーはアメリカ競馬界で最高峰のイベント、クラシック三冠競馬の一つとして知られていて、1938年にミント・ジュレップが公式ドリンクとして採用されて以来、約80年強に渡って提供されてきたみたいです。

そしてそのミント・ジュレップに使用されるバーボンの公式ボトルこそ、オールドフォレスターなのです。

調べてみると2015年からオールドフォレスターが使用されており、それまではアーリータイムズが使われていたようです。アーリータイムズもオールドフォレスター同様ブラウンフォーマンの所有ブランドですね。

こんなことを書いていると今すぐにでもミント・ジュレップが飲みなくなってしまいました。

個人的おすすめボトル3選

今回もおすすめボトルを3つご紹介しておきますね。
新進気鋭のバーボンもいいですが、正統派のプレミアムバーボンもたまにはいいですよね。気になるものがあれば是非味わってみて下さい。

オールドフォレスター 86プルーフ 1000ml

86プルーフはオールドフォレスターのラインナップの中で一番オーソドックスなものになります。

口に含むと最初は酸味、苦みが先に立ち、それを追いかけるようにコーンやライといった原材料の甘味、そしてバニラやオレンジの甘さが続きます。どことなく花弁のような繊細な香りもあります。少し加水するとかなり甘さが増す印象です。

オールドフォレスターは歴史があり、数あるバーボンの中でも少し高級な部類です。未経験だけど、これからスタンダードなバーボンに挑戦してみたい。そんな方にとっては素晴らしい入り口となるボトルだと思います。

オールドフォレスター 100プルーフ 750ml

チョコレートとコーヒー。それがこのバーボンを飲んだ時の僕の第一印象でした。それくらい、濃い甘さが目立つ一本です。

アルコール度数も50度としっかり高く、飲みごたえがあります。しかし、チョコレートやコーヒーの芳醇なアロマと時折見え隠れするリンゴの甘酸っぱさからか、強いのにとても飲みやすいです。

今日は強めのバーボンを、欲を言えば豊かなコクと芳醇な香りを楽しみたいという時におススメの一本だと思います。

オールドフォレスター ステイツマン 750ml

ステイツマンという名前、どこかで聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか?
そう、このバーボンは映画「キングスマン」に登場するアメリカのエリートシークレットサービス、ステイツマンの名を冠したボトルなんです。

口当たりは柔らかく、バニラや樽香の芳醇な香りが広がります。シトラスのヒントもあってクセは弱く、とても飲みやすいです。

液色は深みのあるオレンジ、琥珀色で、色味が印象的なボトルでもあります。

僕はこのボトルは蒸留所併設のバーで初めて飲んだのですが、かなり好みのニュアンスでした。

最後に

今日はここまで。いかがでしたでしょうか?
次回はフォアローゼズ蒸留所についてご紹介します。お楽しみに!

最後までお読み頂き、有難うございました。

※記事の情報は2019年9月21日時点の情報です。

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