フジコ・ヘミング – 魂、宿るとき

雑記


ご無沙汰しています。

約1ヶ月前の11月12日、母とフジコ・ヘミング&ヴァスコ・ヴァッシレフのコンサートに行ってきました。
1日早い、母からの誕生日プレゼントでした。

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フジコ・ヘミングは現在78歳のピアニスト。今もなお精力的にコンサート活動を行っておられます。収益の内、猫の餌代を差し引いた全額を動物愛護団体に寄附されていることでも有名です。

彼女の著書『フジコ・ヘミング 魂のピアニスト』(求龍堂、2000年)を読んで彼女の生き様に非常に感銘を受け、コンサートで生の演奏を聴くことが予てからの望みでした。

「彼女はミスタッチが多い」
「技術力がない、他のピアニストの方が上手いじゃないか」
そんな批判をされる方もおられます。

でも、私はピアニスト、フジコ・ヘミングが大好きです。
先ほど述べた『フジコ・ヘミング 魂のピアニスト』のなかで、彼女は以下のように述べています。

“目を覆うような人生。でも、どこかで毎日起きている悲惨きわまる事実に、あなたはどうぞ目をそむけないでください。愛とは行動することです。人間はその愛のために神から命をさずかり、使命をあたえられている事を知って下さい。人間とは盲目のあわれむべき存在ではないでしょうか。”

引用元:フジコ・ヘミング(著)、
『フジコ・ヘミング 魂のピアニスト』(求龍堂、2000年)

中高時代をキリスト教教育のもとで過ごしたこともあってか、実際に社会貢献を為さっている彼女のこの言葉は身に沁みました。
名声を手にいれながらも、常に「謙虚さ」「感謝の気持ち」を忘れず他者の立場に立って「行動」する。
そんな素晴らしい人間性を持ったフジコ・ヘミングは、真のプロフェッショナルだと感じました。

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手作りだという、独特の衣装に身を包んで皆の前に姿を現したフジコ・ヘミング。
決しておごることなく、曲を弾き終える度に深々と観客にお辞儀を繰り返した彼女の姿が忘れられません。

ラヴェル、リスト、ラフマンにショパン・・・。
彼らも、自身の曲をフジコ・ヘミングというピアニストに弾いてもらえてさぞかし幸せなことだろうと思います。

彼女の人間性が反映されたかのような美しいピアノの音色は、これからも多くの人々を魅了し続けるに違いありません。

冬の夜のベルリンに思いを馳せつつ。

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