アイオナ島 – 霧立ち籠める島、受け継がれる先人の思い

エディンバラ大学


少し前のことになりますが、スコットランド・ハイランド地方への旅の振り返りを。

2月21日、今回のハイランド地方の旅のハイライトとなるアイオナへ。

早朝8時のフェリーで滞在していたオーバンを発ち、向かいのマル島へ。
乗船時間は50分ほどだったと思う。

そこから島の反対側まで行くためにバスに乗車。
時期が時期だけにバスに乗り合わせた客はたったの8人。
荒々しい山肌に大きな滝。
あたり一面緑色に彩られた世界で、鹿や羊たちが限られた命の時間の針を一歩ずつ前へと進めている。
彼らの内いくらかは飼われているものだと思うけれど、限りなく自然に近い環境にいる動物、あるいは自然にいる動物たちは本当に生き生きして好きだ。
人間のエゴがあまり到達していないからかな。そんな感じ。

そうこう揺られること1時間、ようやくバスが停車した。
降りてすぐ、お目当てのアイオナ島が目に飛び込んできた。
すぐそこに見えるというのにもう一度フェリーに乗る。

揺られること25分、ようやく今回の旅の目的地であるアイオナに到着した。

表示にしたがってアイオナ修道院へと向かう。

歩くこと10分ほどで到着。

このアイオナ修道院は、母校・関西学院を訪れて「スコットランドに留学することになりました」と伝えた際にスウェーデン出身の先生に教えていただいた場所。

アイオナ修道院は中世ケルト教会の修道院として有名。
6世紀、聖コロンバがここに修道院を建設。
以降、アイオナ島はスコットランド、北イングランドへのキリスト教布教の拠点として機能した。

潮の匂い、かもめの鳴く声、目に入る牧草地帯、対岸の山肌に芳しくない視界。
なぜだかわからないけれども、悪い天気を含む全てが愛おしく感じられた。
この島には不思議な魔力のようなものがあるのかもしれない。
度重なるバイキングの襲撃に耐え続けた長い歴史だけが醸成し得る比類無き圧倒的なパワー。

そうこうする内にフェリーの時間が近づいてきたので、島に一つだけある郵便局で家族に葉書を投函。

骨折明けの右手で書いた汚い葉書。
将来の良い思い出になるだろうなと思いつつ。

アイオナを後にしてマルへと戻る。

この島の郵便局を守るおじちゃんもお見送りしてくれた。

バスを待っている間、これからまた長い時間をかけて帰るのかと考えていたら少し日が射した。

迎えのバスが来て、最後にもう一度アイオナ島にさようならを言おうとしてフェリー乗り場へ足を伸ばすと偶然アシカさんに遭遇。

ふと、高校時代苦手だけれど好きだった地学の授業を思い出す。

厳しい自然のなか、そこに息づく命がある。
人々の連綿とした知の営みと同じように、動物たちもこの世界でずーっと一緒に生きてきた。
地球誕生から46億年が経った今でこそ「人間」と「他の動物」という区別が明白だけれども、昔はぜーんぶ一緒。人間もちっぽけな細胞から始まったんだよなと思うとすごく優しい気持ちになれた。

アイオナを訪れてからまだ一ヶ月。
それなのに、あの島の不思議な魔力が「また遊びにおいで」と呼んでいる。

人気記事 アメリカのデザイン大学院留学 – 受験対策③TOEFL

人気記事 ハーバード大学デザイン大学院 (GSD) のアーバニズム教育