ボストンのおすすめランニングコースを紹介します

アメリカ生活


こんにちは、Takaです。

いきなりですが筋肉痛です。というのも、昨日ふと思い立って27kmを走ったためです。これまでの最長走行距離は12km程度なので、その倍以上走ったことになります。

魅惑のチャールズ

さて、ボストンと言えばボストンマラソンでも有名な通り、ランナー憧れの街として知られています。赤レンガの風情ある街並み、チャールズ川沿いの豊かなランドスケープ。その環境でただ「走る」ために世界中から多くの人々がこの地を訪れるほど。

厳しい冬を耐え、満々と水をたたえてただ緩やかに流れゆく春のチャールズ川には、人間存在を絶対的に肯定してくれるような母性があります。それはもしかしたらシベリウスがピアノ曲「樅の木」で表現しようとした世界観に近いかもしれません。

雪の降り積もる厳しい冬、人影もなく、動物も冬眠している。そんな中、まだ来ぬ春を夢見て一人佇む「樅の木」。孤独、寂寥感を経験しているからこそ周囲に優しくできる。そんな優しさ、人間存在への肯定感がここボストン、チャールズ川にはあります。春から夏先にかけてのチャールズ川沿いの水と緑、青と緑のコントラストは目に優しいだけでなく、心まで洗濯してくれます。

私はランニング歴も浅く、世界中の都市を走ってきたようなランナーに比べると説得力に欠けるのは百も承知ですが、ボストンのランニング環境は本当に素晴らしいです。チャールズ川沿いのプロムナードはきちんと整備されており、私が走ったことのある街の中では断トツの環境です。

さて、前置きが長くなってしまいましたね。
以下では、ボストン在住歴4年の私が、おすすめのランニングコース4つをご紹介します。

4つのおすすめコース

1. ハーバードスクエア ~ ロングフェロー橋(10.6km)

まず一つ目は、チャールズ川沿いの自然豊かな環境、市街地のどちらも味わうことができる欲張りコース。バランスのとれたコースを走りたい方におすすめです。

ハーバードスクエアからジョンF.ケネディー通りを下り、アンダーソン橋を渡り切ったところからスタートです。対岸にハーバード大学の学部生が住むハウス(学生寮)を見つつ、道なりに進みます。

ボストン大学橋まで2km程走ると、ボストン市街が目に入ってきます。

以下の写真、左手に見える階段状の建物はHyatt Regency Cambridgeです。奇抜なデザインは神戸のメリケンパークオリエンタルホテル、あるいは福岡のアクロス福岡なんかを想起させます。走りながら建築や都市に思いを馳せるのもアーバンプ「ランナー」のランニングの楽しみ方の一つだったりします。

その後はロングフェロー橋まで約5kmほど直線です。市街に近いこともあり、多くのランナーが走っています。

マサチューセッツ湾、ボストン港に注ぐチャールズ川の下流は川幅も次第に広くなり、走っていて爽快感があります。プロムナードでは夕暮れを楽しむ人々の姿も目立ちます。ここボストンは水と緑が本当に豊かな都市です。

たまに嘘みたいに美しい夕暮れに出会えることがあります。以下は一例、もちろん#nofilterですよ。

さあロングフェロー橋まで来たらいよいよ折り返しです。橋に上がったら是非後ろを振り返ってボストン市街を眺めてみてください。

スカイライン形成を先導する高い3つの建築群は左から、200 Clarendon Street(旧呼称はJohn Hancock Tower)、Prudential Tower、2019年に竣工したOne Dalton(下層部がFour Seasonsのホテル、中層部より上がお高めのコンドミニアム)です。

その後はハーバードスクエアを目指し、市街地を約4km真っすぐに走るだけです。川沿いとのコントラストを楽しんでみてください。

2. ハーバードスクエア ~ ハーバード橋(8.9km)

ロングフェロー橋までは少し長いかもという方におすすめなのが、ハーバード橋で折り返すこのコース。

対岸にMITを眺めつつハーバード橋を渡り切ります。その後は、市街地でではなく川沿いに沿って走ります。この復路、ハーバード橋からハーバードスクエアまでの遊歩道は近年整備が進み、ランナーにとっては非常に走りやすい環境となりました。

ハーバード大に近くなったら沢山のカナダガンの群れに遭遇するはずです。毎年4-5月は彼らが営巣する季節、日に日に凄まじいスピードで大きくなるひな鳥の成長も、毎週走っていればこそ分かる楽しみだったりします。彼らはフンの量も去ることながら、至る所で用を足してくれるので、踏まないように気を付けて下さいね。笑

3. ハーバードスクエア ~ ホーム・デポ近くの橋(6.3km)

チャールズ川の上流を目指すこのコースはより市街の喧騒から離れることが可能です。頭の中を空っぽにしたいときなどに好んで走るコースです。

高層建築は目に入らず、ただただ青と緑の世界を楽しむことができるのでおすすめです。

夕暮れ時のランニングもたまりません。ずっと眺めていたくなるような景色とはこういうものなのだと思います。

目の前の優麗な川の流れ、豊かなランドスケープに没入、合一していく自分に気付くとき、これこそが本居宣長の「もののあはれ」という感受性、日本人の自然観の基層なのだろうと考えるものです。

4. ハーバードスクエア ~ ウォータータウン(7.2km)

こちらは3で紹介したホーム・デポ近くの橋で折り返さず、更にチャールズ川上流を目指すコース。上の図の真ん中当たりのWatertownまで、川沿いを走るのがおすすめです。

マイナスイオンを全身に浴びつつ、より自然豊かな環境の中を進みます。

秋の紅葉もボストンでランニングをする楽しみの一つ。水面に映る秋の色を味わいつつ走ってみてください。

以下は初冬のチャールズ川。つんとした冷たい空気に冬の訪れを感じ始めたら、走り納めといったところでしょうか。真冬でも雪の中を走っている猛者はいますが。笑

なぜ走るのか?

正直、「走ることに意味があるのか?」と問われると答えに詰まります。ただ、走るという目標を立て、達成し、その達成を積み上げていくことには意味があると感じています。

人生はつみきのようなもので、何事も一足飛びにはいかないものです。中長期の目標を立てることはもちろん大事ですが、小さくてもいいので達成実感を得る頻度を増やすことも大切だと思っています。

「今日はいいや」と先送りにしがちな自分の怠惰に鞭を打ち、挑む。もちろん目標を達成できれば万々歳ですが、例え達成できなくたとて、挑戦し努力したプロセスは自分の自信になります。そして、自信がつくともっと大きなものに挑戦できるようにもなります。

少し前にこんなTweetをしました。

実はこのチャールズ川沿いのランニングコースは、「走る作家」村上春樹が愛するコースでもあるのです。私が大好きな彼のエッセイ『走ることについて語るときに僕の語ること』の中でも、チャールズ川沿いのランニングの魅力は紹介されています。

走ることについて語るときに僕の語ること

まずタイトルのリズム感からして秀逸です。元ネタは村上春樹が翻訳を担当した、レイモンド・カーヴァーの短編集『愛について語るときに我々の語ること』なぜ小説家である彼は走るのか。しかもそれも毎日10km程度、時には100kmのマラソンにまで挑戦するのか。スランプもあれば加齢もある。そんな中でもただ走り続ける。走ることと人生を重ね合わせながら描かれる彼の人生観に共感する人は多いはずです。

ストイックという言葉で片付けるのはとても短絡的で、彼のプロフェッショナリズム、生き方に対する考え方が散りばめられた至極の一冊。私自身、30歳を手前に趣味として走るようになり、年を取るほどに彼の鋭い言葉がしっくりくるようになりました。彼の見ている世界の解像度が上がったような感じです。爽やかな読後感で、何度でも手に取りたくなる一冊。私はKindleに入れて持ち歩いています。全てのランナー必読の一冊ですよ!

村上春樹のプロフェッショナリズム、人生観をもっと知りたいという方は『職業としての小説家』もおすすめですよ。

走ることで生まれるコミュニティ

このブログでも埋め込み画像で使用していますが、私はStrava(ストラバ)というランニングアプリを使っています。尊敬している慶應、ラグビー関連の先輩にお声がけ頂きダウンロードしてから1ヶ月程度が経ちました。ニューヨーク、ロンドンや東京。アプリ上では世界中に散らばった旧来の友人たちとのコミュニティが作成でき、一緒に走る楽しみを共有できるのも走るモチベーション維持に繋がっています。

また世界中の友人がどんなコースを走ったのかを知ることができるのは、アーバンプランナー(都市計画家)にとってはこの上ない楽しみだったりします。人々に愛される街路空間やランドスケープ、あるいはウォーカブルな空間が把握できますからね。

以上、今回はボストン現地在住4年になる私がおすすめのランニングコースをご紹介しました。いかがでしょうか?

最後までお読み頂き有難うございました。

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