OPT(Optional Practical Training)とは? – アメリカで働いてみる

アメリカ


こんにちは、Takaです。

私はアメリカでデザイン大学院を修了後、F1ビザ(学生ビザ)保持者に与えられる1年間のOptional Practical Training(以下、OPT)でアメリカ企業に勤めました。OPT期間終了後の現在は、H1-Bビザ(特殊技能職ビザ)と呼ばれる労働ビザを得て同じアメリカの企業に勤めています。

アメリカの大学、大学院を卒業・修了する方の中には、アメリカに残って働くことを検討されている方も多いかと思います。日本からアメリカに学生として来る場合、大抵の人がF1ビザで渡米されることと思います。

この記事では、F1ビザでアメリカの大学・大学院に進学された方が必ず耳にすることになるOPTについて、私の経験も交えつつご紹介できればと思います。

OPTとは?

OPTとは、アメリカの大学・大学院にF1ビザで就学している学生が、専攻分野と直接的な関連がある業界、職種で企業研修を1年間行える制度です。他にも2年制のコミュニティカレッジを卒業した場合、大学付属のエクステンションスクールでの授業を受講した後にもOPTが可能なようです。

尚、OPTには就学中に実施するPre-Completion OPTと、プログラム修了後に実施するPost-Completion OPTの2つがあります。前者のPre-Completion OPTでは、学期中はパートタイムで週20時間まで、休み期間中はフルタイムで働くことが可能です。ここで留意すべきはOPT期間は合計で1年間までということです。即ち、Pre-Completion OPTで働いた場合、Post-Completion OPT期間は1年間からPre-Completion OPT期間を差し引いたものとなります。

たいていの方が大学・大学院を卒業・修了後にPost-Completion OPTで1年間働くとは思いますが、上記の情報は知っておいて損はないかと。この当たりの情報は在籍校のStudent Service (ハーバードの場合はInternational Office)が定期的に学生向けの説明会を実施し、丁寧に説明してくれるので余り心配しなくても大丈夫です。

OPTの申請について

これまでOPTの概要について書きました。以下ではPost-Completion OPT、即ち卒業後のOPTの申請についての情報をシェアします。

OPT申請に必要な書類

以下、米国移民局 (以下、USCIS)へのOPT申請に必要な書類を纏めました。

尚、リストの上から2つ、Form I-765とI-20は、大学側が準備してくれるものとなります。その費用は私が在籍したハーバード大学では$150でした。

  • Form I-765
  • I-20のコピー
  • I-94 (渡航履歴)
  • パスポートの個人情報ページのコピー
  • F1ビザのコピー(パスポート内のもの)
  • 写真
  • $410のチェック(申請費用の振込証明)

余談ですが、申請費用は2016年12月23日付けでそれまでの$380から$410に値上がりしたようです。今後も値上がりがあるかもしれないので、適宜最新の情報を仕入れるようにしてください。にしても、いいお値段しますよね。。

OPT申請スケジュール

一般的には、多くの留学生は卒業3-4ヶ月前、即ち春学期が開始してすぐにOPTの手続きに取り掛かります。大学・大学院を卒業、修了する前の最終学期で、通常の授業の課題に加え修士論文や最終製作課題等があること、また並行して就職活動を進めなければならないことからとても忙しくなります。全てが重なってくるので結構メンタルが持っていかれます。笑 しかし周りの留学生も同じ状況下で孤軍奮闘しているので、励まし合いながら生き抜いてください。

また、アメリカの就活では多くの学生が5月末の卒業間近になって内定を獲得します。卒業してからも探し続け、数カ月後に内定を貰う学生も少なくありません。ですので、内定が無い、あるいは働き先を決めていないにも関わらず、OPT期間、即ち働き始めと終わりを指定しなければならないという状況が発生します。事実、私自身も在学中にいくつか内定は頂いていたものの、5月末に大学院を修了した後も引き続き職探しを続け、現在の勤め先からのオファーは7月に受け取りました。その一方、OPT開始日は3月に申請した時点では6月15日としました。

尚、OPT期間中には働いていない日数が90日以内である必要があります。即ち、私の場合は6月15日が指定したOPT期間の開始日であり、実際に働き始めたのが8月初旬なので、働いていない期間が約45日程度ありました。7月に本命から内定が出たから良かったですが、当時は結果はまだ来ないのかと毎日ひやひやしていた記憶があります。

OPT申請スケジュール具体例 (2018年)

以下、私のOPT申請のタイムラインになります。ケースバイケース、また足許の政局の影響等からバラつきはあるかと思いますが、一個人のケースとして参考にして頂ければと思います。

申請日が3月2日、Employment Authorization Card (以下、EAC)の受領日が5月7日ですので2カ月強かかりました。

2018年1月29日
ハーバード大学International Office (以下、HIO)主催のOPT説明会に出席

2018年2月21日
HIOにOPT申請で必要となる書類作成(I-765やI-20等)を依頼。$150の費用をチェックで支払い

2018年2月26日
HIOから書類の準備が完了したとのメールを受領

2018年2月27日
HIOで書類をピックアップ

2018年3月2日
郵便局でOPT申請書類一式をUSCISに送付(Priority Mailを使用。値段は約$25)

2018年3月中旬
USCISから、OPT申請書類と手続き費用を3月5日付けで受領した旨を通達するForm I-797Cが届く

2018年5月4日
Form I-797を受領。同書類内に、EACとForm I-766が追って送付されてくる旨の記載あり

2018年5月7日
EACを受領

2018年5月14日
ケンブリッジ市のLocal Social Security Administration オフィスを訪問し、Social Security Number (以下、SSN)の手続き。
EACが有効となる6月15日から約5-10日後を目安に送付すると言われる

2018年5月25日
大学院を修了

2018年6月15日
自身の定めたOPT期間が開始。就労が可能に

2018年6月26日
USCISからはOPT開始可能日(= EACが有効となる日)である6月15日から10日を経っても送付されてこず。
6月26日にUSCISに電話したところ「プロセス忘れてたわー。ごめんね。」とのことで、そこから手続きされた模様。なんとも適当なものです

2018年7月2日
SSNがようやく届く

2018年7月23日
勤めることになる企業からオファーレターを受領

2018年8月初旬
アメリカ現地企業にて勤務開始

補足:2019年の事例

私の1年後にハーバード大学デザイン大学院を修了した友人によると、2019年はUSCISの書類審査・手続きが大幅に遅れ、2019年5月の段階で2018年12月申請分の処理をしていたとのことです。尚、彼は私の勤め先からオファーを貰っていたにも関わらず、EAC受領の遅延からやむなくオファーを辞退し、日本に帰国しました。(EACがないまま働くことは不可能なので)

他の記事でも書いていますが、アメリカ人ではない人がアメリカの現地企業に勤めるためには多くの壁を越えていく必要があります。ビザはその代表格で、努力では何ともし難いものです。上記の友人のように、OPTの申請をし、オファーを貰っていながら政治的な要素の影響でプロセスが遅延し、結局働けなかったというケースが増えてきています。アメリカで職探しを検討されている方には、リスクヘッジの観点からも、日本やその他海外での職探しも併せて検討されることをおススメします。

そもそも、$560ものOPT申請費用を払ったのにオファーも無く、またOPT申請の処理にも遅延が発生して結局働けないという状況もあり得ます。一方で、一度日本に帰国してしまうとアメリカに就労で戻ることは容易なことではないのも事実です。申請費用も学生にとっては決して安いものではないですから、「本当に自分はアメリカに残りたいか」「オファーをきちんと貰えそうか」等の現実的な問いときちんと向き合われることをおススメします。

OPT期間中にアメリカを出る場合は?

結論から述べると、OPT期間中のアメリカ出入国は以下の書類を持ち歩いていれば何ら問題ありません。

  • I-20
  • EAC
  • 雇用先からのオファーレター

私自身、海外出張、年末年始の休暇帰国で2度アメリカを出国しましたが、入国時に上記のドキュメントを審査官に見せ、彼らの簡単な質問に応えるだけでした。

尚、質問といっても「どんな仕事をしているのか」、「大学院では何を学んだのか」の2問のみで、F1ビザOPTの要件である専攻分野における学びと職種の直接の連関を問うものだけでした。

なかには、「卒業後に無事仕事見つかったんだね。おめでとう!」なんて添えてくれる審査官もいました。目下、アメリカンファーストで、海外国籍保持者や移民のアメリカでの労働に関する規制が厳しくなっている状況ですので、こういう声をかけて貰えると嬉しいものです。

F1 OPTからH1-Bビザへの切り替え

F1ビザで留学しOPTをされた方で、その後もアメリカに残って働きたいと考える方の多くが検討されるのがH1-Bビザだと思います。その他にも、アメリカ人と結婚してアメリカに残る等の方法もありますが、今回の記事の趣旨からは外れるので割愛します。

記事の冒頭で述べた通り、私は大学院を修了後F1ビザの特権であるOPTを使用して1年間アメリカ企業に勤め、その間にH1-Bビザへの切り替え申請をしました。この当たりは、以前H1-Bビザ(アメリカ就労ビザ)申請について解説しますという記事にて解説していますので、併せてお読み頂ければと思います。

最後に

留学生は、大学や大学院で多忙な日々を過ごしながら就職活動やOPTの手続きも並行してする必要があるので、かなり大変です。事実、大学院修了間近は私も多くのストレスを抱えていたように思います。言わずもがな、アメリカ人にはこの一連の手続きは不要です。そんな彼らがうらやましく思えることもあると思います。

しかし、OPTの申請方法や付随する詳細事項については大学のInternational Student Officeが丁寧に教えてくれます。私が在学したハーバードでも説明会が年に数回ありましたし、分からないことは担当者にメールを出したり、オフィスを訪ねていけば説明してくれます。ですので、過度な心配はせず、まずは学校側が提供する情報についてきちんと目を通すようにしてください。心配し過ぎるのも心身にはよくないですからね。

今回の記事は以上になります。OPTを利用してアメリカでの職務経験を希望される方にとって、私の記事も少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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