Sweatcoin – 歩くだけで貰える仮想通貨?
今回はアメリカ生活の中で面白いと思った、Sweatcoinというフィットネス・アプリについてご紹介したいと思います。
モノからコトへ。
所有からシェアへ。
そんな社会のトレンドが反映されたかのようなアプリです。
Sweatcoinとは?
Sweatcoinはイギリスはロンドンで2015年に創業したスタートアップで、同名のアプリが2016年にリリースされました。
その名の通り、汗をかくことで貯めることのできるコインです。歩いたり走ったりした移動距離をスマホの加速度センサーによって歩数に変換し、その歩数に応じてコイン=仮想通貨が貯まるアプリです。
イギリスとアメリカの2国で展開されており、アメリカのApp Storeのフィットネス部門で6位にランクインする人気のアプリです (2019年8月14日時点)。
アメリカでは2018年に少し人気が出て、今は若干落ち着いているかなという印象です。
昨年私がダウンロードした段階では上位3-5位だったと記憶していますので。
Sweatcoinを使用するに至った経緯
このアプリを知るまでの私は、仮想通貨やそれに関連するアプリには強い興味があるわけではありませんでした。
では、なぜ使用したのか?
それは、健康志向の高まる車社会アメリカで、歩くことがインセンティブになる仕組みがどう都市の在り方、そこに住まう人々の暮らしを変えるのかを自分自身も肌で体験しておきたいと思ったからです。
歩くことがインセンティブになれば、自動車での移動距離、バスや電車等の公共交通の使用量も減るかもしれません。
テクノロジーの進歩によって都市のあり方、そして人々のライフスタイルは大きく変容しており、アーバンプランナーとしてこれを自分も経験しないわけにはいかないと感じました。
Sweatcoinの使い方、貯め方
アプリをオンにして歩いたり、走ったりするだけ。これだけです。
約1年弱使用してみた感想としては、バッテリー消費は全く気になりません。
交換レートは1,000歩あたり1SWCとなっています。
尚、アプリ初回登録時はMoverというプランが基本設定となっています。このプランは使用料が無料で、一日にマイニングできる限度が5SWC (5,000歩)に設定されています。
以下に、現状使用できる5つのプランについて簡単にまとめました。
私は通常のMoverを使用しています。
プラン | 使用料/月 | マイニング可能額 (日/月) |
---|---|---|
Mover | 無料 | 5 SWC / 150 SWC |
Shaker | 4.75 SWC | 10 SWC / 300 SWC |
Quaker | 20 SWC | 15 SWC / 450 SWC |
Breaker | 30 SWC | 20 SWC / 600 SWC |
Trouble Maker | Coming soon | Coming soon |
その他、アプリ上に表示されるスポンサー広告動画を見ると1SWCが貯まります。
もうお分かりの通り、Sweatcoinはスポンサーからの広告費を収益源とするプラットフォーマービジネスですね。
尚、ご丁寧なことにSweatcoinから週次のレポートがメールで届きます。そこには何歩歩いたか、前週対比での増減、Sweatcoinユーザー内でのランク等が表示されます。
私はTop 30%に入っているようです。私自身はそんなに歩いている意識はないのですが。。
アプリのアクティブユーザーが少ないという仮説もありますが、都市部で3年暮らした私の直感は、アメリカ人は基本的に余り歩かないから自分がTop 30%に入っていても納得というものです。笑
アメリカは本当に車社会ですからね。
貯めたSweatcoinの交換
貯めたSweatcoinの使い道は大きく3つあり、アプリ上で簡単に交換が可能です。
モノへの交換
様々な商品への交換が可能で、これらの商品は定期的に入れ替わります。
アプリ上では購入した場合の通常価格、交換に必要なSWCの両者が表示されており、商品によって換金率は異なります。
健康、フィットネス関連のアイテムが多く、具体的ににはビタミン剤、プロテインやウォーキング・ウェアなどがよく出てくる印象です。
尚、目玉商品は20,000SWCで交換可能なiPhone XSです。
Moverプランだと1日5SWCがマイニング限度額なので、iPhone XSへの交換にはざっと約11年必要となる計算です。笑
毎日10-20km歩いている、ランニングしているという方はBreaker、今後発表されるTrouble Makerなんかを使用するとかなり貯まるのではないかと思います。
コトへの交換
私が素敵だなと思ったのが、この「コトへの交換」です。
途上国における女性の社会進出の促進、水道や道路等のインフラ整備、教育へのアクセス拡充、またテロ等による避難民への支援。
こういった社会課題の解決に向け、歩いて貯めたSWCを使用することが可能です。
広告掲示主もUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などですので安心です。
世界に目を向ければ、目を覆いたくなるような事実があります。
生を受けた国が違うだけで、学びたくても学ぶ環境が無い人たちがたくさんいます。
日本からは想像のつかない劣悪な環境下で生活する人たちがいます。
日本で暮らしていると、スラム街なんて言葉はたまにしか聞くことはありませんが、世界には多数存在します。
今私は、アーバンプランナーとして途上国のマスタープランニングにも従事しています。プロジェクトを通じて感じるのは、都市、人々の生活を支えるインフラをつくるという取り組みは、決して一夜にしてなるものではないということです。
悲しいかな、途上国、とりわけ宗派、民族間の対立が激しい国々では、自然を破壊し、人々の尊い命を奪い、文明をも消し去る暴力行為、テロが日常のように頻発しています。
そんな中でも、世のため人のために尽くすという強いパブリックマインドを持ち、無私の精神で課題解決に取り組む人々がいます。
ハーバード在学時、親しくしていた友人に途上国からの留学生もいました。
彼らの多くは、ハーバードに留学すること自体が財政的負担であったにも関わらず、一生懸命に学び、国に戻って、あるいは国際機関に勤め、世のため人のために働いています。
少し熱くなってしまいましたが、ただ歩いたことが世界の誰かのためになるのであれば、そんな素敵なことはないと思います。
私自身、日本という恵まれた国に生まれたこと、またそういった環境をつくってくださった先人たちに感謝しつつ、現在の仕事、およびSWCを通じた寄付を継続していきたいと思っています。
もう一つ、コトへの交換で出来ることがあります。それは、アプリを使用している他ユーザーへのSWCの譲渡・トランスファーです。
「この前のコーヒー、食事をご馳走になったお返しにSWCで」といったような使い方もできますね。
お金への交換
20,000SWCで現金$1,000との交換が可能です。但し、アプリ上では”Few Left”の文言があるので、残り何枠あるのかは不明ですが。
尚、2019年8月14日現在、Sweatcoinが売買可能な第三者プラットフォーム(取引所等)は存在していません。
どうしても換金したいという方は、こちらのSweatcoinguideが買取をしているようですので確認、検討されてみてもいいかもしれません。
以上、今回はアメリカ生活で出会った面白いフィットネス・アプリ、Sweatcoinについてご紹介しました。
アメリカにお住まいの方、留学や駐在等でこれから住むご予定のある方で、興味のある方がいらっしゃれば、こちらから登録されてみて下さい。
登録時に5コインが貰えます。
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