元気のお裾分け
「ラグビーで怪我をするなら本望。」
そう固く決意したはずなのに、いざ怪我をしてみると悔しくて。
スコットランドでプレーを始めてからたった2ヶ月で怪我をするとは思ってもみなかった。
最初の診断は脱臼。精密検査後の診断結果は、肩鎖関節靱帯の部分断劣。
最低10週間の休養とリハビリ。
当たり負けしないようにと思って出発前から身体作りに取り組んできて、エディンバラでもジムに通っていた。
「身体の小さい日本人だから当たり負けするのは当然」なんていう言い訳はしたくないし、これからもしたくない。
一生懸命積み重ねても、崩れ去るのは早い。本当に。理不尽なほどに。
一日3回ペインキラーを飲みながら授業に、リハビリに通う日々。
中高時代、怪我に悩まされた日々を思い出す。
増して、薬の副作用で授業中でさえうとうとしてしまう。
勉強が本業なのに、それすらまともにできていない怠惰な自分が余計にいやになったり。
唯一のストレスリリーバーがなくなったことで、どうもここ2週間はボストンキャリアフォーラムの準備やらエッセイ、授業の復習に追われるだけの毎日を過ごしていたみたい。
「Takafumi、最近元気がない。疲れてる。」
そう言って元気のお裾分けをくれた身近な人たち。
自分でもそう言われるまで気付かなかった。
でも、言われてみるとそうかもしれなかった。
確かに怪我をしてからというもの一杯一杯だった。
一杯一杯で、留学に際して掲げた当初の目標、
「優しいパスを送り続けること」が全然意識できていなかった。
怪我をしてから強く思う。
それは、優しいパスを送り続けるには絶対的な強さ、人間としての圧倒的な厚みが必要であるということ。
人を優しくさせるもの。他者を思いやる心を持たせるもの。
それは絶対的な強さだと思う。
そしてその強さを根底で支えているのが、真っすぐな努力。
誠実な歩みを続ける、その努力のプロセスなんだと思う。
どうも自分はまだまだ努力が足りないみたい。もっと強くならないといけない。
「努力は最高のドーピング」とはよく聞く言葉だけれど、本当にそうだと思う。
我慢することが美徳という日本人的な精神性は今は捨て去っていい。
泣きたいだけ泣けばいいのかもしれない。泣きたいだけ。
思う存分泣いた後は、怪我をしたことで自分とゆっくり向き合う時間が持てたんだとポジティブに捉えよう。
そして、支えてくれた人、気配りをしてくれた人たちに感謝しよう。
彼らを見習おう。
7年前だけど、色褪せない記憶。
中学受験の日。
朝起きると、勉強机の上に一枚の手紙。
早朝単身赴任先へ帰っていった父親が机の上に置いたメッセージ。
「強く思え。思いは必ず実現する。」
今でもときどき言葉のプレゼントをもらうけれど、自分にとってのこの言葉のメッセージ性は格別。
今は静かに燃えるべき時期なのかもしれない。
常に主役であり続ける必要はない。
これからちょっとの間は、もう一度優しいパスを送り出すための準備期間。
本当に学ぶことだらけの留学だ。
(清宮さんに頂いた大事なサインボール。ボールはフランスのチーム、USA Perpignanのもの。)
人気記事 アメリカのデザイン大学院留学 – 受験対策③TOEFL
人気記事 ハーバード大学デザイン大学院 (GSD) のアーバニズム教育